うちのチームに合うのはどれ?チーム特性で選ぶ「振り返り」

その振り返り、自分のチームに合っていますか?

エンジニアとして働いていると、KPTで振り返りをしていることが多いのではないかと思います。しかし、チームによっては、なんでかパッとしないと感じることもあると思います。

チームに合った振り返りは、チームの文化やメンバーの個性によって、最適な「型」があるのではないかとぼくは考えます。

この記事では、「コミュニケーション重視」「技術重視」「モチベーション重視」という3つのチームタイプ別に、チームの成長段階に合わせた振り返り方法をまとめてみました。

こちらはあくまでも主観です。

1. 「みんなで話したい!」コミュニケーション重視のチーム

こんなチームです: メンバー同士の対話や情報共有が活発。チームの雰囲気を大切にしていて、みんなでワイワイ意見を出すのが得意なチームです。

形成期:まずはポジティブな雰囲気づくりから

  • おすすめ手法: Fun/Done/Learn, 4L
  • ポイント: まだお互いをよく知らないこの時期は、何よりも心理的安全性の確保が大切です。Fun/Done/Learnで楽しかったことや出来たことを共有したり、4Lで「本当はこうだったら良かったな(Longed for)」という期待を話したりすることで、ポジティブな雰囲気の中で相互理解を深めることができます。

混乱期:感情と事実を切り分ける

  • おすすめ手法: 4L, タイムライン振り返り
  • ポイント: 意見がぶつかりやすい時期。感情的な対立を避けるために、客観的な事実と個人の感情を分けて話すことが重要です。タイムライン振り返りで「いつ、何があったか」を全員で確認し、その上で4Lを使って「その時どう感じたか(Liked/Lacked)」を丁寧に共有すると、冷静な対話がしやすくなります。

統一期:議論を「次の一歩」へ

  • おすすめ手法: KPT, YWT
  • ポイント: チームのルールも固まり、活発な議論ができるようになったら、それを具体的なアクションに繋げたいところ。シンプルで行動志向のKPTが効果的です。またYWTで「やったこと(事実)」と「わかったこと(解釈)」を整理すると、より質の高い「次にやること」が見えてきます。

機能期:プロの集団をさらに磨く

  • おすすめ手法: Starfish
  • ポイント: チームが絶好調のこの時期は、活動をより細かく調整していきましょう。「もっと増やしたいこと」「少し減らしたいこと」といった多角的な視点を持つStarfishなら、継続的な改善を促し、チームをさらに高いレベルへと導いてくれます。

2. 「ファクトで語ろう」技術重視のチーム

こんなチームです: 事実やデータに基づいた論理的な議論を好む職人肌のチーム。

  • 技術的な課題解決やプロセスの効率化に喜びを感じる
  • 「なぜそうなったか」という原因分析を重視する
  • 感情的な議論よりも、客観的な事実に基づいた会話を好む

形成期:まずは「事実」から入る

  • おすすめ手法: YWT
  • ポイント: 技術志向のチームは、主観的な話よりもまず客観的な事実から入る方が安心して議論を始められます。YWTの「やったこと(Y)」から共有を始め、そこから得られた「わかったこと(W)」を話すことで、お互いの思考の傾向やスキルを自然に理解できます。

混乱期:技術論争を冷静に進める

  • おすすめ手法: YWT, タイムライン振り返り
  • ポイント: 技術的な対立が、個人への批判にならないように注意が必要な時期。YWTで事実と解釈をしっかり分離。さらにタイムライン振り返りで「どの時点で、どういう技術的判断があったか」を時系列で追うことで、感情を排した冷静な議論ができます。

統一期:改善サイクルを高速で回す

  • おすすめ手法: KPT
  • ポイント: 開発プロセスが固まってきたら、KPTの出番です。シンプルかつ強力なフレームワークで効率的に「問題(Problem)」を特定し、「次の一手(Try)」に繋げることで、改善のサイクルをスピーディに回せます。

機能期:最高のプロセスをさらに洗練させる

  • おすすめ手法: Starfish
  • ポイント: すでに優れたプロセスを確立しているチームには、精密なチューニングが可能なStarfishが最適。「やめること(Stop doing)」で無駄をなくし、「もっとやること(More of)」で良い習慣を強化するなど、パフォーマンスをさらに磨き上げることができます。

3. 「やりがいが大事!」モチベーション重視のチーム

こんなチームです: メンバーの感情や「やってて楽しいか」「やりがいはあるか」がパフォーマンスに大きく影響するチーム。新しい挑戦や貢献実感がガソリンになります。

形成期:「楽しい」から始めよう

  • おすすめ手法: Fun/Done/Learn
  • ポイント: これから始まる活動へのワクワク感を高めることが何より重要。「楽しかったこと(Fun)」や「達成できたこと(Done)」を共有すれば、「このチームの一員で嬉しい!」というポジティブな気持ちを育むことができます。

混乱期:下がった気持ちの原因を探る

  • おすすめ手法: 4L, タイムライン振り返り
  • ポイント: 対立や停滞でモチベーションが下がってしまった原因を優しく探る必要があります。4Lの「足りなかったこと(Lacked)」や「望んでいたこと(Longed for)」から、メンバーの満たされない気持ちをすくい上げます。タイムライン振り返りで感情の浮き沈みを共有するのも有効です。

統一期:成功体験で自信をつける

  • おすすめ手法: KPT, Fun/Done/Learn
  • ポイント: チームの方向性が定まり、成果が出始めるこの時期。KPTの「Keep」で成功体験をみんなで称え合い、自信を深めましょう。定期的にFun/Done/Learnを挟んで、日々の楽しさや学びを再確認し、モチベーションを維持するのも良い方法です。

機能期:新たな挑戦でマンリ打破

  • おすすめ手法: YWT, Starfish
  • ポイント: 高いモチベーションを維持するには、成長実感や新たな挑戦が不可欠。YWTで「わかったこと(学び)」を深く掘り下げて知的好奇心を刺激したり、Starfishで「新しく始めること(Start doing)」を考えたりして、マンネリ化を防ぎましょう。